中原中也「夏の海」
耀(かがや)く浪(なみ)の美しさ
空は静かに慈(いつく)しむ、
耀く浪の美しさ。
人なき海の夏の昼。
心の喘(あえ)ぎしずめとや
浪はやさしく打寄(うちよ)する、
古き悲しみ洗えとや
浪は金色、打寄する。
そは和やかに穏やかに
昔に聴きし声なるか、
あまりに近く響くなる
この物云(い)わぬ風景は、
見守りつつは死にゆきし
父の眼(まなこ)とおもわるる
忘れいたりしその眼
今しは見出(みい)で、なつかしき。
耀く浪の美しさ
空は静かに慈しむ、
耀く浪の美しさ。
人なき海の夏の昼。
中原中也の詩と写真は、コチラ
一葉にモドル
2018年08月25日
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