多摩川
七五三撮影フィーバーも少し収まってきた、
2019年の12月。
多摩川の木々と空が撮りたくなって、
フィルムカメラと、トイカメラ、
そして、露出計代わりにX-T1を持って、
多摩川の河川敷に赴いた。
驚いた。
10月に台風の被害を受けて、
だいぶ復興は進んだと思っていたが、
台風前、緑だったグラウンドは、
まだ泥が積もった状態で、
川べりには、堆積した泥が防波堤のように
こんもりと続いていた。
あちらこちらにショベルカーが置いてある。
乾いた泥に足を取られながら慎重に川へと近づき、
足場を確かめる。
なんとか行けそうだ、と判断したので、
ワタシはバッグからカメラを取り出した。

高い木に、草がまとわりついて、傾いている。
足元は、乾いた泥が、なんだかフカフカしている。
惨憺たる眺めではあるが、
その日の夕焼け空と相まって、
なんだか壮大な風景にも思えた。
でも、また元の多摩川に戻って欲しい。
あの平和な景色の中で、
黄昏れていたい。
多摩川の復興を願った、2019年の暮なずむ頃。
川の流れだけは、穏やかだった。
一葉にモドル