加藤保憲、蘭
求め合ってはいる。
求め合ってはいるのだが。
初めての対面で、まだ微妙な緊張感があった、お蘭様と加藤だった。
まるで、恋のはじまりのように、おずおずと触れ合う二人が、もどかしい。
ドールとはいえども、そこには心が宿っていて、恋が深まっていくには、
時間というものが必要なのだろう。
ワタシは、また二人をそっと並べた。

お蘭様を見つめる、加藤の眼差しが、ひたむきなものに変わったような気がする。
唇を寄せる加藤の胸の中で、恥じらうように、戸惑うように、視線を逸した、お蘭様。
でも、唇が離れた時、その目は、しっかりと加藤を見つめていた。
そんな、お蘭様の髪に、そっと口づけをする加藤。
きっと、時間をかけて、二人は、お互いへの愛情を深めていくことだろう。
ワタシは、それを眺め続ける、ただの傀儡師。
一葉にモドル