毎年、桜の季節になると思うのだ。
「今年は、桜を撮らないかもしれない」
2015年は、週末にチラチラチラ〜と咲き始めて、平日に満開になってしまったので、
やっぱり「今年は、桜を撮らないかもしれない」と思っていた。
でも、なんだろう。
桜が咲いたら、写真におさめておかなければ!と地味に焦る、この焦燥感は。
ちなみに、正倉院は奈良県にある高床式倉庫だ。鳳凰堂が有名だ。
そんなことは誰も聞いていない。
桜、なのである。
近所の川辺りに咲いている桜を「アワワ、アワワ」と慌てて撮った。
目黒川みたいに見えるのは見せかけだけで、実は、ど近所だ。
魚眼レンズで、ぐにょろり〜んと撮るのが、意外と楽しい。
撮っていたら、風で花がホロリと落ちてきたので、拾って持って帰り、神谷バーで買った
電気ブランのグラスに水を張って浮かべた。
ちょっとした花見酒気分。
これがアタシのお花見です。
夜。
既にシャワーを浴び、スッピンでジャージ姿になっていたにも関わらず、
「夜桜を撮りとうございます」と、LEDライトを担いで、再び近所の川辺りへ。
真夜中過ぎである。
桜を撮っているアタシを散歩中の犬が避けて行く。
タクシーの運ちゃんが、ギョッとした顔で通り過ぎて行く。
とんだ不審者だったと思われる。
もしかしたら、生きている人間ではないと思われたかもしれない。
翌日、これまた近所の神社を通りかかったら、綺麗に桜をライトアップしていたので、
今度は比較的常識的な時間に撮りに行った。
神社と桜は、よく似合う。

そんなわけで、2015年も、つつがなく桜を撮ることができた。
「撮らないかもしれない」なんてぇのは、ただの杞憂だった。
でも、アタシは毎年思うのだ。
「今年は桜を撮らないかもしれない」、と。
一葉にモドル