Olympus OM10
AGFA APX 400
夏が近づいてきたので、ちょっと幽霊っぽい所を歩こうと思ったのだ。
そうだ。四谷に行こう。お岩様に会いに行こう。
前々から、四谷荒木町に行きたいと思っていたのだが、地図で見たら、田宮稲荷神社がある
四谷左門町とは目と鼻の先。
これは、一挙に攻めるしかない。
四谷三丁目駅で地下鉄を降り、まずは田宮稲荷神社でお参りをした。
アタシは、子供の頃に『四谷怪談』の映画を観て以来、今でも思い出すと具合が悪くなる程、
それはそれは怖い思いをし続けてきたが、田宮稲荷神社は、ちっとも怖い場所ではなかった。
斜向いにある於岩稲荷も、綺麗で洒落た造りのお寺だった。
それもその筈。
実在のお岩様という方は、貞女の鑑だそうで、祟りをなす云々というのは、後の創作。
アタシは「今日は四谷を撮らせて頂きます」と手を合わせ、長年の恐怖を置いてきた。
お参りを済ませた後は、通りを渡って、四谷荒木町へ。
三味線を担いだ猫の看板を眺めながら、車力門通りに入った。
入り口は、車を引く車夫の看板が掲げてあるから、すぐにわかる。
笑ってしまう程に、飲食店が軒を連ねている。
小粋なバーもあるが、スナックが多いような気がする。
「煙人」というのは、どうやら焼肉屋さんのようだ。
焼肉と言えば、「ドロップキック」という店名は、すごいインパクトだ。
看板の文字も、すごい。
メインの通りも、路地のような佇まいの、比較的狭い道だが、更に幾つもの路地が
そこからニョキニョキ伸びている。
アタシは、そんな路地を、気の向くままに歩いた。
実にステキな路地だ。
ついでに、隙間もイイ感じ。
すれ違う人々は、写真を撮っているアタシに、いささか訝しげな目を向けるけれども、
「こんにちは!」と元気に挨拶をすると、笑顔が返って来る。
こちらが心を開けば、暖かく迎え入れて下さる。
そんな当たり前のことを、しばらく忘れていたような気がする。
写真を撮って歩くようになってから、思い出した。
少々怪しげなアングルで写真を撮っていても、誰にも叱られず、むしろ笑顔で
声をかけて頂いたりしたのは、お岩様にお参りをしたお陰だろうか。
ありがたや、お岩様。
一葉にモドル
2014年07月18日
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