AGFA APX 400
ポパイカメラで、フィルム2本を現像に出し、ぼんやり待っているのもナンだから、
ちょっと行ってみるか。
ここからなら、東横線で1本だし。
・・・と軽〜い気持ちで行った、白楽の六角橋商店街。
西口から駅を出ると、そこは商店街。
「ふ〜ん、普通の商店街だな〜」
・・・そう思ったのは、ほんの一瞬。
亀の置物に惹かれて、フラフラと路地に入り込み、ふと目を上げたアタシは、そのまま
石になった。
いや、石にはならないか。別にメデューサがいたわけじゃないもんな。
目の前の光景に釘付けになった。
なんか、すごいアーケード街がありますけどっ。
狭い。とても狭い道幅。路地と言っても差し支えない。
そんな暗いレトロな路地に、イイ感じの店が並んでいる。
・・・血圧が一気に上がった。
もう、そこからは、夢中でシャッターをきった。

途中、肩からカメラを提げた、スーツ姿がとてもダンディな老紳士に声をかけて頂いた。
「フィルムですか?私もフィルムですよ。嬉しいなぁ、若い人がフィルムをやってるんですね」
そう言って、アタシのカメラを「見せて下さい」とねだる、老紳士。
「Olympusですね?いいカメラです。白黒フィルムで撮ってますか?いいですね」
でも・・・アタシのカメラを褒める老紳士が肩から提げているカメラは、ライカだ。
使い込んだ、革のホルダーに入った、古いライカ。
素晴らしいカメラを持った大先輩の前で、若輩者のアタシはお尻がむずむずしたが、
老紳士はお世辞を言ったわけではなく、本当に楽しそうだった。
きっと、写真が大好きな方なんだろう。
カメラは時として、こんな出会いを運んでくれる。
一葉にモドル