AGFA APX 400
ロシアカメラに、日本の歓楽街というものを見せてやった。
プーチン大統領を、ご案内してしまった気分だ。
どうです?旦那。
蒲田の東口から伸びる、商店街である。
そうだ。言っておくが、ここは商店街だ。
しかし、どこからどう見ても、飲ん兵衛と助平のための街でしかない。
東横インすら、淫靡な連れ込み宿に見えてくる。
土曜日の午前中。
ちょうど、街は眠りについた頃だろうか。
昨夜の乱痴気騒ぎの名残を感じる。
まだ、微かに熱が残っている。
祭りの後。ちょうど、そんな感じだ。
草臥れたプリンセスが眠り、買い物客が通り過ぎて行く。
シャッターは閉ざされ、洋品店の店の奥で、犬が眠たげにうずくまっている。
扉に書かれた「マイウェイ」の文字がレトロだ。
亜子もモナリザも夢の中。
まだ灯りの落ちていないビルの廊下、居酒屋の奥。
かるちゃんは煙で煤け、蛸十の前には誰かが停めた自転車。
ちょっと酔ってこ、と誘われても、店は閉まっている。
スナックと小料理屋の朝は、気怠い。

土曜日の午前中。
場末の歓楽街のアンニュイさは、どことなく色っぽかった。
一葉にモドル

