アタシが、まだ若かりし頃。
五反田の有楽街は、かなりアンタッチャブルな街だった。
飲み屋やキャバレーはもとより、どこからどう見ても立派な風俗店が立ち並び、
通りには無駄にごつい外車が停まっていた。
・・・つまり、そういうことだ。
アタシもいい大人になった・・というか、既に枯れ始めてきたことだし、もういいだろう。
いっちょ有楽街に足を踏み入れてみよう。
そう思い立った、日曜の昼下がり。
アタシは、カメラ片手に、五反田有楽街に繰り出した。
金曜の夜には行けないところが、まだまだチキンハートだ。
「ここにデカい看板があったよな〜」と思いながら、有楽街に突入。
看板が、無い。
新宿・歌舞伎町のように、その存在を誇示していた看板が無くなっている。
「あれ〜?」と思って探してみたら、小さな看板が、実にひっそりと佇んでいた。
見渡す限りに、閑散としたビル街。
飲み屋はあれども、新しい、健全、平和。
うーむ、何かが違う・・・
だが、取り壊しのためか、全体が覆われたビルに惹かれて、その角を覗き込んだ途端、
事情が変わった。
おおおおお、怪しい。怪し過ぎる。
こんな路地をフラフラしていて、後ろからトカレフで撃たれても、文句は言えない。
そんな路地裏。
俺の後ろに立つな。
そんな、ゴルゴ13な路地裏。
恐る恐る踏み込んでみると、蔦に覆われた建物がある。
フランス料理とあるが、看板の文字がキテいる。隠れた名店だろうか。
これで勢いがついて、また別の路地に迷い込んでみる。
まあまあの寂れ具合。
「おお、これは」という怪しい階段を発見。
すかさずカメラを向けて、ファインダーを覗き、慌てて撮影を中止した。
イケナイハーブを売っている店だった。アブナイ、アブナイ。
前を歩く、ソフトモヒカンのお兄さんの後ろ姿を撮りたかったが、シャッター音に気づいて、
振り返り様に殴られる妄想が頭をかすめたので、やめた。アブナイ、アブナイ。
下半身御用達のお店も、まぁ、あった。
とりあえず、撮っておいた。18禁。
こうして歩いてみて、なんとなくわかった。
どうやら、怪しい店は、全てビルの中に引っ込んでしまったようだ。
その方が、却って無法地帯な気もするが、引っ込んでしまったものは、仕方がない。
五反田・有楽街では四角いビルの中で、秘密のパーティーが繰り広げられているものらしい。
一葉にモドル

