夜、腹が減ったので、買い物に出掛けた。
とぼとぼと歩きながら、ふと横に目をやって、ドキッとしてしまった。
・・・宵闇に浮かんでいる街灯の明かりが、とても幻想的だ。
なんで、なんで、この瞬間にカメラを持っていないんだ、アタシはっ。
悔やみながら、買い物をして、帰宅した。
だが、先程の光景が思い出されてならない。
撮りたい、撮りたい、あれを撮りたい。
腹が減っていたはずなのに、食事どころの騒ぎではない。
夕飯をほっぽり出して、アタシはカメラを引っ掴んで外に飛び出した。
明日じゃダメだ。今撮りたいものは、今撮るんだ。
夜の闇の中に、煌煌と光を発している街灯。
ぼうと明るいのは、その1点だけで、光は溶け出すように、闇の中に滲んでいく。
その曖昧な境界線が、とても綺麗だった。
宵闇の中を、明かりを求めてさまよい歩いては、街灯に吸い寄せられるアタシは、
夜の蛾のようだった。
冷たいようで、暖かい。
灯りにホッとする自分がいる。
街灯の灯り、家から漏れる灯りは、優しいと知った夜。

一葉にモドル