自宅で、あれこれ撮るのがマイブームだったのだ。
テーブルの上に黒い画用紙を敷いて、色々とちまちま撮っていた。
ちょうど昼頃に撮ると、実にイイ日差しが差し込んで、それが楽しかったのだ。
夜な夜な、ストロボを引っ張り出しては、遊んでみたりもした。
ナニコレ、チョ〜楽シインデスケド〜。
そこで、家捜しを開始した。
自宅を掘り起こしにかかった。
何か良い被写体は無いか。何か、何か、無いか。
そして、思い出したのが、江戸切子のワイングラス。
結婚式の引き出物で頂いたものだ。
もったいなくて、あまり使っていないグラスが、棚の奥で眠っていた。
寝た子を叩き起こすのが、写真バカ。
もったいない、と使わなかったくせに、写真を撮るとなると、転がすやら、重ねるやら。
乱暴狼藉の限りを尽くした。
それにしても、切子の柄というものは、繊細にして大胆なアートだと思う。
改めて、そこに気がついてしまった。
切子のラインに光が反射して、とても綺麗だ。
こういうものを創り出す、職人の手は素晴らしい。
件のワイングラスは、手作りの品だったようで、2脚それぞれの形が、微妙に違っていたことにも、
今回初めて気がついた。
人間、見ているようで、実はちゃんと見ていないという事実を、地で体現してしまった。
アタシは、平凡な人間なのだ。

一葉にモドル