2013年のゴールデンウィーク。
長距離バスに揺られて、新潟に帰省した。
いや、正確には、新潟は故郷ではない。
アタシは、東京生まれ、東京育ちである。
両親が、長年住み慣れた東京を脱出して、父の故郷である新潟に居を構えたので、勢い、新潟が実家
ということになってしまった。
まずは、母が丹精している庭を楽しんだ。
ちょっと肌寒いが、この庭で、朝食を食べる。楽しい一家の団欒。
朝食後は、母と松林の散策に行った。
一応、散歩道らしいのだが、人っ子一人通らない1本道は、えらく寂しい。
こんなところを一人で散歩していたら、どこかにさらわれてしまいそうだ。
それぐらい寂しい。
海のすぐ側にある松林。防風林なのだ。新潟の海沿いは、とても風が強い。
松も、その全てが斜めに生えていた。
両親の「あれ食べなっせ、これ食べなっせ」という、もてなしに、腹がすっかり重たくなった。
律儀に全部食べることもないのだろうが、折角の気持ちを無駄にしてしまっては悪い気がする。
あれもこれも平らげ、もう夕飯は入らんという状態になってしまったので、腹ごなしに、
夕暮れの日本海を見に行った。
誰が置いて行ったものか、砂山の上にトカゲのような恐竜が乗っていた。シュールだ。
夕日に照り映える波打ち際が、キラキラと輝いて美しい。
打ち寄せる波は、荒々しい。日本海の荒波だ。
夕日が落ちきってしまう直前まで、写真を撮りながら、ただぼんやりと海を見ていた。
本当に美しい光景だった。
ああ、日本の何処かに、私を待っている風景がある。
いい日、旅立ち。

一葉にモドル