人物を撮るのは難しいし、楽しくないと思っていた。
アタシが「イイ!」と思っても、モデルさん本人が、「これ、やーよ」と思ったら
そこで試合終了だし、背景を活かしつつ、「イイ!」と思える表情をとらえるのは、
モデルさんとアタシの間に、あうんの呼吸とも言うべきものが生まれないと、難しい。
ファインダーを通しての対話。
それは、ただの撮られたガールが相手だと、成り立たない。
「綺麗な私を撮って〜」
「一番良い表情を見つけて〜」
いや、人物を撮るカメラマンならば、その要望にきちんとお応えするのが本筋なんだろう。
でも、アタシは、「どや、どや、どや〜」とガンガン攻められると、戦意を喪失してしまう。
というか、全然楽しくない。
だから、「人物は撮らなくてもいーや」と思っていたのだが・・・
友人の結婚祝いに、ポートレートを撮りませんか?と提案した。
そういう経験が全く無かった友人は、だいぶ躊躇したようだが、快く引き受けてくれた。
そして、いざ当日。
最初こそは、ぎこちなく、戸惑い気味だったが、そこは昔からの友人同士。
何度も声をかけて、シャッターをきるうちに、表情もほぐれ、勘良く応じてくれるように。
ファインダー越しの対話が成り立った。
素敵な笑顔も見せてくれた。
ありがたい。
ヘボはヘボなりに、アタシも夢中だった。
楽しくない?いやいや、とんでもない。すごく楽しいじゃないか。
人物撮影の楽しさに、すっかり目覚めてしまった。
それは、モデルになってくれた、友人のお陰である。
貴重な体験をさせて貰った!と、御礼の言葉を頂戴したが、貴重な体験をさせて貰ったのは、
むしろアタシの方であった。
Thank you, maiko.

一葉にモドル